Jul/2002
里山(さとやま)講習会なるものに参加した。そこで、カブトムシの幼虫にであった。
里山はずっとずっと昔から・・・みんながいろいろと利用してきた、森。
クヌギやコナラ等の落葉樹、ドングリの、森。
(植樹した杉林やいわゆる原生林は奥山(おくやま)というらしい。林業の専門家の手のはいる、あるいは、全く手つかずの森)
落ち葉を拾い堆肥にし、定期的(15〜20年サイクルで)に木を切ることで、落ち葉の生産量を維持し、材を確保し、薪や炭を作ってきた、森。
田畑の側にあり、人里の側にある、森。
60年代にはいって燃料革命が起こって、炭から石油石炭が使われるようになり、化学肥料が多用され・・・かえりみられなくなった、森。
氷河期が終わってから一万年以上も・・・日本に住む人々が利用のノウハウを蓄えてきた、森。
身近な自然として、見直されている、森。
で、自分が所属しているボランティア組織の代表として、他のボランティア団体が主催している会へ・・・研修にいかせてもらった。それが里山講習会。
私の所属しているボランティア組織の管理している森は・・・森、ともいえないくらい、もしかしたら、林、ともいえないくらい・・・ちいさなちいさな、住宅街の中の林。ほんの小さな畑もついている。それでも、春にはスミレ、キイチゴ。秋はドングリ。きれいな姿を様々に見せてくれる、私にとっては安らげる、場所。
里山講習会のフィールドは、もう、その何十倍、何百倍??もあるような、広大なところ。それが西多摩とはいえ都内にあるんだから、本当に驚いちゃう。森の生態系の頂点にたつ、大鷹までも生息している。(ほんの小さな林では、大鷹なんか、食べ物が少なく、とてもじゃないけど生き延びられない)。
荒れ放題の大地と森の笹を刈り、落ち葉溜めを作る。萌芽更新(注1)を促進するため、また、椎茸などのキノコ類の、ほだ木(注2)にするため、木を切り、必要なところには、植樹する。
まったくの無農薬の水田まで作っている、という。
もう、“目から鱗”の連続。
それから、そういう活動を支える人々や講習を受けている人々も。
人々の多様さも。
やっぱり、“目から鱗”の連続だった。
九州出身で首都圏でシステムエンジニアをし、縁あって、長野で林業をなりわいとしている、青年2人組み。
大学院でボランティア組織の成長?過程?を研究しているという環境学専攻の女性。
鳥の調査で、日本中を飛び回っている、超ロン毛の少年のような、青年。
第2の人生をかける甲斐のあるものを探している、定年間近の男性たち。
山登りや自然が大好きなおば様方。
もう何年も実際に里山に関わり続けている、人々・・・。
多様性の健全さ、への驚き。“これなら日本も大丈夫”。大げさだけど・・・それから、全くもって単純なことだけど・・・将来に対する安心感。信頼感、まで・・・私には感じられた。貴重なひととき。
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無農薬の水田は、まだ20代の青年がたった一人で、はじめたのだという。
農家の出身では、ない。“もともとは蝶が大好きで、自然と関わるようになったんです”。
昼間は“食べるため”のサラリーマンの仕事。早朝と深夜が田んぼのための時間だ。
まず、秋口から堆肥作り。
落ち葉を集め、牛糞を混ぜ、発酵させる。水をかけ、万遍なくひっくり返す。大変な作業だ。
できた堆肥はほかほかに暖かい。
その堆肥の中にいる、カブトムシの幼虫を見せてくれた。
コロンとした白く透明感のあるイモムシ君。もう、ゆっくりにしか、動けない。ずんぐりした、ぶきっちょさん。はじめて、見た。
ちょっと掘れば、ざくざく、出てくる。
“環境を整えてやれば自然に卵を生んで、ここで生育していくんです”。
うーん。すごい。
世の中には、私の知らないことだらけ、だ。
(そう、こんなことすら知らない、私は本当に視野の狭い人間だ)。
で、すごーく無理をいって分けていただいた。
カブトムシの幼虫。5匹。
所属ボランティア組織で春のイベントを行うときの、目玉、として。
一日かけて、別の機会を設けて、カブトムシの幼虫だけをもらいに、いく。
飼い方を何人もの人に聞き。図書館で調べ。初めてのカブトムシ体験を始める。
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春のイベントでは子供たちに堆肥にするための落ち葉を拾ってもらう。
“堆肥”といっても、子供の興味を引かないので。
“カブトムシの幼虫のすみかにもなるんです”と伝える。
私のように幼虫の姿、その大きさ、のっそり具合を知らない子もたくさんいるだろうから。
カブトムシの幼虫を子供たちに、見せる。
(結局田んぼ青年の幼虫は間に合わず、他の幼虫を貸してもらった)
すこしでも、自然に関心をもつ、その取っ掛かりになるように。
自然の不思議さやいのちに関心をもつ、その取っ掛かりになるように。
カブトムシの幼虫を子供たちに、見せる。
“わー”っと歓声が上がる。
“はい。手はパーにしていて。幼虫を置くからね。グーにしては駄目だよ”。
子供たちのことも、幼虫のことも、よくわかっている会のメンバーが、説明する。
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そうして、初夏になる。羽化の季節、だ。
・・・続く・・・
注1 萌芽更新・・・木によっては切った後の切り株から、脇芽をたくさん出す。この脇芽はとても成長が早い。実、というか、種から植えてそだてると、数十センチの高さになるのに何年もかかるが、脇芽だと一年でその程度には成長する。で、成長しすぎて、葉の生産量の落ちた木は思いきって切ってしまって、脇芽の成長による葉の生産維持を期待する。切った木は様々な材にする。あまり年数がたちすぎると、今度は脇芽の勢いがなくなってしまう。サイクルは15〜20年がいいらしい。
注2 ほだ木・・・ある程度の太さのあるクヌギ等のまるのままの枝を適当な長さに切ったもの。椎茸などの菌の駒を打つ。
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