Kさん(女性)は数ヶ月ほどの休暇を取り、その後、同じ職場に復帰することになりました。
復帰直前の調整のためにご来訪され、気になることなどをいろいろ扱っていったのですが、最後に、同僚の方とのことを扱うことになりました。
ハコミは通常1時間ほどのセッションなのですが、これは全体で2時間のセッションのうちの20分ほどのことだと思います。
1ヶ月ほど後に、「同僚のことは全く気にならなくなりました。今までは気にするまいとして、必死で自分のペースを守るために、何が起きてもその同僚の方に 目をやることはありませんでした。でも今は、その同僚が何か落とせば、自然にそちらの方を向くことができます。その方が結局、私もその同僚も穏やかに仕事 ができることに気づきました」と知らせてくださいました。「イヤー、効果抜群です!」と。
「その方が気になるとき、いつもどんな姿勢で仕事をしていますか?」
「立ち仕事なので立っています」
「では、ちょっと、その姿勢をここでとってみましょう」
催眠とは違い、実際にその姿勢をその場でとってもらいます。
そのとき、意識は通常の意識状態で、クライエントの方とセラピストは協力し合う状態にあります。
「同僚の方が気になるとき、あなたの体は何を体験していますか?」
「胸がドキドキするし、身体の左側が固くなる、板みたいになる」
「では、その様子に少しとどまってみましょう」
この時点で、すでにいろいろなことを扱って来たので、胸のドキドキさんや板みたいな左側さんに深く入っていくことはせずに、ただ、この体験をマインドフルネスで体験することになれてもらうためだけにとどまってもらいました。
「少しそのことから意識をずらして、身体のほかの部分を感じてみると、ドキドキしていない、比較的落ち着いている身体の部分はどこかありますか?」
「よくわからないです」
「足はしっかり大地についていますね。足はどうですか?ドキドキしていますか?」
「ドキドキしていません。あ、おなかの下の方はドキドキしていない!」
Kさんはご自身で、身体の中のリソース(自信が持てるところ、安心できるところ)を発見し、感じることができました。
「では、おなかの感じを十分に感じましょう。ドキドキしていない穏やかさを味わいましょう」
そして、胸のドキドキと、おなかの穏やかさをゆっくりと交互に感じてもらいます。このように行ったり来たりすることで、脳の配線そのものがかわっていくようです。Kさんは十分自身が持てるようになったようです。
「ちょっと私の周りを走り回ってもらえます?同僚がしているみたいに」
Kさんの周りをばたばた走り回ります。
「全然気にならない!余裕で仕事できている!すごい!!」
しばらく、その感じを味わってもらって、セッションを終了しました。
このように気になることも、身体をリソース(資源という意味ですが味方につけるという感じでしょうか)とすることで、心の落ち着きを取り戻すことができます。
通常の意識状態でこれができればよいですし、もし難しいようであれば、マインドフルネスという意識状態を使うハコミセラピーを選択肢にいれてみるのもいいかもしれません。